ブライダルフェアに参加するときはこんなゴリ押し営業に気をつけよう!
もうすぐブライダルの商戦期がやってきます
あと2週間もすると新年を迎えますね。1月はブライダル業界で一番の繁忙期。通常の1.5倍くらいの数のカップルが結婚式場の見学に行きます。
結婚式場側も1月でコケるとその年の業績にダイレクトに響くので、どこも気合を入れて年明けからの商戦期の準備している頃でしょう。
ところで、結婚式場の見学といえばいつも問題になるのが強引な営業。
- なかなか帰してくれなくて怖かった
- 結局10時間近くも式場で粘られた
- 他の式場の悪口ばかり言われてげんなりした
などなど、twitterやらYahoo!知恵袋やらでちょっと探しただけでもわんさか出てきます。残念です。でも、初めての式場見学の場合はどんなことを言われるのかわからないですし、どうやって逃げたらいいかもわからないですよね。
というわけで久しぶりの更新となった今回は、ブライダルフェアに参加するとこんなゴリ押し営業をされるかもしれないからこう逃げよう!というのをまとめます。
ブライダルフェアでのゴリ押し営業事例集
その1:今日決めてくれれば50万円値引きします!
見積り説明の終盤あたりによく出るワード。相場感がわからないカップルに金額の大きさで心理的誘導をかける方法。
だいたいの場合、そんなことはなく、別に明日決めても同じだけ値引きしてくれるので、「あ、そうですか、わかりました~」って言って帰るのがよい。
その2:今日決めないと希望の日程が埋まってしまいますよ!いいんですか!?
これもブライダルフェア終盤で帰りたそうな雰囲気を出したときによく出てくるワード。いわゆる焦らせる作戦。
11月の3連休中日の大安くらい超ド人気の日取りならありえなくもないが、もし本当にそんな人気の日取りならプランナーもあえて強引に売らなくてもそのうち勝手に売れるので、こんなことは言わない。売れなそうな日取りで結婚式を挙げてくれそうな人を帰したくないから言っているので、「あ、そうですか、それは残念です」って言って帰るのがよい。
その3:ちょうど今キャンセルが出て希望の日取りが空きました!これは運命ですね、決めちゃいましょう!
見積り説明からの日程を決めているタイミングで稀に出てくるワード。運命的な出来事が起きたと錯覚させて、そのままクロージングに持っていく営業手法。
結婚式場の運営で最も怖いのがダブルブッキング。もし本当にキャンセルが起きたとしたらしっかりとキャンセルしたお客さんの確認を取って完全に契約解除をしてからその枠をあけるのが普通。高速で新しい人の挙式を入れてしまうと「やっぱり話し合って結婚式を挙げることにします」と言われた瞬間にダブルブッキング確定となるのでリスクが超高いのです。
なのでこれはほぼ間違いなく嘘です。そうでなければ運営大丈夫ですか?って心配になるレベルなので「あ、そうですか、でも帰ります」って言って帰るのがよい。
その4:何が気に入らないんですか?どこが不満ですか?どうやったら決めてくれますか?なぜ?なぜ?
見学した日に申し込まないことがわかったタイミングから態度が変わってやたら詰めてくるときによく出てくるワード。経験の浅い営業の人や、その月の営業目標を達成できるかどうかの瀬戸際の営業マンが焦っていて思わず言ってしまうことが多い。
この状態になってしまったらもはや建設的な会話は難しいので、「そういうところが不満で当日も不安なので決めません、では」と言って帰るのがよい。
その5:あの会場(他社)のどこがいいんですか?狭いし、チャペルは短いし、遠いし、・・・し(永遠に出てくる)
いわゆる競合潰し。上手な営業がやるとキレイにつぶれていくが、下手な営業がやるとただの悪口になる。たいていの場合、どこの会場と同時検討されたらこのように違いを説明して自社の会場を選んでもらうべし!的なトークスクリプトをどの会場も用意しているが、スキル次第で受け取る印象が大きく変わってくる諸刃の剣の営業手法。
営業のスキル低そうだなと思ったら同時検討先の会場は言わない、もしくは「似たようなもんだと思いますけどね」と言って帰るのがよい。
その6:親の確認が必要だったら今この場で電話して聞いちゃいましょう!それさえわかれば決められますよね!
決めきれずに迷っているカップルに理由を聞いて、「まだ親にも話していないし、日程も大丈夫かわからないし・・・」と言われたときに繰り出されるワード。決められない理由を一つずつ消していく途中に出てくる、いわゆる親確電話。
事前に式場見学に行くことを伝えているのであれば普通に電話してもいいが、そうでなければ突然電話がきていきなり結婚式場を決めます、どうですか?ときても普通ビックリするので、「あ、お父さん(お母さん)ケータイ持ってないので、家帰ってから手紙書きますね」と言って帰るのがよい。
その7:次の会場の見学予約はキャンセルしておきますよ!時間を取って申込条件しっかり決めちゃいましょう!
次の会場の見学の予定があるから、と言って帰ろうとすると言われるだいぶ強引な手法。カップルに電話させるのではなく確実性を考慮して式場側のスタッフが無慈悲に電話するので(さすがに許可を得た上で)、キャンセルされた方の式場はだいぶ落ち込む。
先に見学した会場が気に入っているならそうしてもいいが、そうでないなら「次の会場は見学すると5万円もらえるので行きますね」と言って(嘘)帰るのがよい。
と、いろいろ挙げましたが、本当に人気があって本当に自信のある結婚式場は、こんな営業トーク使わなくても普通にお客さん申し込んでくれますから、もしこれらのようなトークが出てきたら高速で帰り支度して、さっさと帰りましょう。
ブライダルフェアに行く前に・・・
もう1年以上ぶりの更新でしばらくブライダル業界から距離を置いていたのですが、知らない間にいろんなサイトできてるんですね。。
などなど。
ちょっと前まではゼクシィ、みんなのウェディング、ウエディングパークしかなかったのに、ほんと結婚式場探しも多様化してきたなと思います。
これから年明けにかけてブライダルフェアに参加するときは、強い心を持っていってらっしゃい!ということで。
いい結婚式を探してくださいね~
結婚式場探しサイトの競争は結果的にユーザーの不利益につながっている話
結婚式場探しはけっこう儲かる。
それなりに頑張れば、10万円を超える特典を受け取ることもできる。しかも結婚式場に見学行って、会場を見て、試食をして、プランナーの話を聞いているだけ。
ここ2~3年でかなり目立ってきた、メディアによる「見学・成約特典」について、今回はその仕組みと結末について書いてみようと思う。
豪華すぎる結婚式場の見学特典
ゼクシィ
マイナビウエディング
2016年秋のカップル応援キャンペーン実施中【結婚式場見学で最大30,000円分の商品券!】│マイナビウエディング
楽天ウェディング
結婚式の下見などで最大50,000ポイントプレゼントキャンペーン|楽天ウェディング
ウェディングパーク
みんなのウェディング
ぐるなびウェディング
【新生活を応援!】憧れwedding♪憧れMarried Life!応援キャンペーン - ぐるなびウエディング
それぞれの特典を簡単にまとめると、以下のようになる。
合計すると165,000円。実に豪華である。
なぜこんなに豪華なのか?
その前に3者の関係について整理しておきたい。
結婚式場はゼクシィやみんなのウェディングなどのメディアに「広告費」を支払い、掲載してもらう。ユーザーはメディアに載っている式場の情報を比較検討して、見学の予約をする。
結婚式場の広告担当者は、限られた予算からどのメディアにいくらの広告費をかけると集客が最大化するのか、ということを考えながら出稿のバランスを考えていく。具体的には、月の広告予算が500万円だとしたときに、ゼクシィに300万、みんなのウェディングに30万、マイナビウェディングに20万…にしようか、それともゼクシィ200万円、みんなのウェディング50万円、マイナビ40万円…にしようか、といった具合である。
この広告費の配分を考える際に非常に重要視するKPIがCPA(≒費用対効果)である。会社によって何を成果としてとらえているかは若干異なるが、ほとんどの会社は以下のように考えている。
CPA = 広告費 / 獲得来館
※要するに1来館を獲得するのにかかるコスト
例えば、みんなのウェディングに月30万円の広告費を投資して、みんなのウェディングから予約・来館してくれたユーザーが10組いた場合、CPAは3万円となる。
費用対効果のいいメディアに厚く広告費を投資し、そうでないメディアは広告投資を減らしていく。このPDCAを繰り返していくことによって、広告の投資効率を高め収益の最大化を目指していく。
厳密にいえば、認知を目的とした出稿や良質な口コミの情報掲載のための出稿などは、直接的な来館にはつながらないがユーザーの意思決定を間接的に後押ししているとも考えられるのでもっと精緻に分析すべきだとも思うが、実際の現場でそれを行うのはほぼ不可能なので、最終的な来館予約がどのメディアからなされたか(いわゆるラストクリック)で費用対効果を判断している。
これが結婚式場側からのとらえ方だが、では逆にメディア側はどのように考えるだろうか?
メディア側からすると式場の広告費がメディアの売上になるので、出稿するといかに多くの来館を獲得できるかということを広告担当者に営業する。これとこれの広告プランを組み合わせるて出稿すると、どこどこ会場でこれくらいの来館実績があったのでこちらでいかがですか?といった具合いだ。
ただ一般的な認知度としては完全にゼクシィ1強であり、掲載されている情報もメディアごとに大きな差もない。さらにユーザーからするとどのメディアから予約しても特にメリットがあるわけではないので、最終的に知っているゼクシィから予約するか式場の公式HPから予約するという形になりやすい。
では、どうやって”結婚式場にとっての”メディアの価値(=来館数)を上げていくか?
そこで生まれたのがユーザーへの(過度な)インセンティブである。
このメディアから式場見学の予約をすると豪華な特典がもらえます!だからここから予約してね!
こうやってユーザーを獲得して、メディアとしての価値を上げて、売上を伸ばしていく、これが加速していった結果として高額な特典祭りの状態になっているのである。
豪華な特典はユーザーにとって本当にお得なの?
さてこの特典、メディアがユーザーに渡しているものなので、当然だがメディアの広告費が財源となる。つまりメディア側のコストが増える。コストが増えると売上を伸ばさなければならない。メディアが売上を伸ばすためには結婚式場からより多くの投資をしてもらわなければならない。
実際ここ数年、ゼクシィではゼクシィネットでの新商品ができたため投資する広告プランが増え総広告費が増えてきている式場は多いだろうし、マイナビやみんなのウェディングも同じプランの値上げが続いている(私の知る限りの情報なので、すべての式場に対して値上げをしているかどうかは定かではないことはご了承いただきたい)。
これは結婚式場からすると単純に広告費が増えることになるので、CPAの悪化したら投資をやめたらいいだけの話ではあるのだが、どのメディアも同時に値上げが入るとCPAだけで出稿を判断すると今度は来館の絶対数が足りなくなるので、結局は値上がりした価格で出稿を続けることになる。式場からすると単純なコスト増だ。
そうすると今度は式場が売上を増やさなければならない。来館は増えないので組数は増えない。となると組単価を上げなけらばならない。
あれ、組単価を上げる?
それはつまりユーザーの負担が増えることになる。。。
ユーザーにとってお得な特典がつくと、巡り巡って結局は結婚式の価格が上がることにつながるのである。
まとめ
・メディア間の過度なユーザー獲得競争から、来館特典が豪華すぎることになっている
・その来館特典の財源は巡り巡って式場の運営コストにつながる。
・最終的に結婚式の費用が上がるので、結局お得なのかそうじゃないのかわからない
そのうち「新生活の家具セット一式プレゼント」くらいまでなるんじゃないかという勢いだが、結果的には誰のためにもならないので、やめたほうがいいと思う。というかむしろやめるべき。もっと付加価値での競争を!
おまけ
おわり。
結婚式場の悪口をお互いに言い合うに慣習に言いたいこと
結婚式場のプランナーからの営業は世のカップルが想像している以上に強烈である。もし、他の●●会場と迷っている、とでも言おうものならその会場の悪口のオンパレード。もちろん、熟練したプランナーであれば不快な思いをさせることなく丁寧に伝えていくのだが、経験の浅いプランナーが見よう見まねで話をしていくと自分の印象もろとも自爆して終わる。
通称「競合つぶし」
今回はこれについて書いてみようと思う。
競合つぶしとは?
ブライダル業界に限らず、営業はユーザーに買ってもらって(契約してもらって)意味がある職種である。ウエディングプランナーという職業も営業としての側面が強いので、会場に見学に来てくれたユーザーにいかに申し込みをしてもらうか、というのが企業としても個人としても重要だ。
ただ、その「申込してほしい」思考が行き過ぎると、かなり悲惨なことになる。
現在、結婚を考えて式場見学をしており、2つの式場で悩んでいます。
私はA会場をとても気に入っているのですが、先日見学をしたB会場で、A会場の悪口を言われてしまいました…。気に入っている会場だったということもあり、否定された気がしてとてもショックでした。
式場見学で他の式場の悪口を言われました。現在、結婚を考えて式... - Yahoo!知恵袋
次の式場見学があるんで…と切り上げようとすると、「じゃあその会場さんに電話して伝えときますから私たちの話をもっと聞いてください」とめちゃくちゃごねる
あそこにしたらこんなことになっちゃいますからうちの方が良いですよ、的な別の会場の悪口を言いだす
結婚式場見学で考えさせられた、相手を想いやる姿勢の大切さ - LOGzeudon
このように、自分たちの会場で結婚式を挙げることがいかにそのユーザーにとっていかに価値があるか、という視点ではなく、他の式場で挙げることがいかにダメダメか、という視点で延々と話し続けるプランナーが少なからずいる。というか多数いる。
B会場のプランナーがA会場の悪口(しかも本当かウソかわからない)を言うことで、結果として気に入っていたA会場をキャンセルしてB会場に申し込むように仕向けること。
これが「競合つぶし」である。
実際、どんな悪口を言われるのか?
一言に悪口と言っても、その切り口は多様だ。
価格系
・A会場さんはだいたい皆さん500万くらいかけているって言われてますよ。
・契約してから見積りがすっごく上がるらしいですよ。
・値段が高い割にはチープみたいで、あんまりゲストからの評判良くないみたいですね。
会場の設備系
・A会場さんのバンケットは写真ほど広くなくて、むしろ狭いのでこの人数だと合いませんよ。
・A会場さんは天井が低いので圧迫感があるから息苦しくなっちゃいますね。
・最近はA会場さんのようにガーデン付きの会場が人気ですけど、冬は緑が枯れるし夏は虫が大量にわくので女性ゲストからは意外と不評なんですよ。
・逆にC会場さんのようなオフィスビルの中にある会場は、せっかくの非日常なのに現実感にあふれていて夢がないですよね。
・A会場は駅から遠くてヒールの女性やご年配の方々は大変ですよ。え、バスが出ててる?でも知らない人たちと会場まで無言でバス乗るのって嫌じゃないですか。
・A会場は導線的に花嫁がバッティングする、あっちにもこっちにもドレス着た人がうろうろしてますよ。
・A会場はチャペルとバンケットが離れているから当日雨降るとみんな濡れてしまいますよ。
アイテム系
・A会場は料理がおいしくないですよ。試食で出てくるのはものすごく高いコースのものですし。
・A会場はドレスの着数が少なくて、選べないですよ。あ、持ち込み料もかかるみたいなので結構高くついちゃいますね。
・A会場のサービスのスタッフ、全員学生バイトみたいなんですよ。せっかくの結婚式なのに・・・。
・A会場は披露宴時間が短いから、かなりせかせかした感じの披露宴になっちゃいますけどいいんですか?
などなど。
ざっと思いつくだけ挙げてみたが、結構ある。実際の接客の中では、ハード系の話であれば会場内覧中に話すこともあるし、価格系であれば見積り説明時に話すこともある。これだけ言われたらさすがにげんなりしますよね。
さらに、これらの情報に深みを持たせるために、「私、実は以前その会場で働いていたんですけど・・・、どうしても嫌いなところがあって辞めたんですね。それで今の会社に転職しました。それぞれの違いを知っているからこそ、自信を持って私たち会場をご提案しているんです」くらいのことは平気で言います。
しかも人によっては5割り増しくらいで言ってくる。
正直、怖い。
情報収集の方法:競合見学
ここまで書いたようなことを、あることないこと言っているのかというとそうではない。実際に自分たちで見て聞いて研究してどうやって攻めるかを考えている。
でも他社の会場なのに見たことある?なんでそんなに詳しく知っている?
実は、実際のプランナー同士がカップルのふりをして競合会場に見学に行くというのが業界の中ではもはや常識となっている。
お互いにお互いの会場にこっそりばれないように見学に行き、写真撮りまくって、見積りをもらって申し込みをしないで持ち帰る。そのデータをもとに、ここを攻めようとかこうやってつぶそう、といった作戦を練る。会社によっては、個別の会場ごとのデータとその攻略法(営業トークスクリプトとも言うが)をマニュアル化し、新人プランナーに研修しているところもある。
とある大手B社の会場では、
「競合見学お断り。もし見つけた場合は罰金300万円請求します。」
といった張り紙があるとのうわさも聞いたことがあり、効果があるのかなのか定かではないが、いずれにせよどの会社もよく同時検討されるライバル会場の情報収集はあの手この手で行っている。
こんな業界慣習について言いたいこと。
例えば、お付き合したいと思っている人がいるときに
A子は口が臭いからやめたほうがいい
B子は足が臭いからやめたほうがいい
C子は趣味が悪いからやめたほうがいい
D子は軽いからやめたほうがいい
ね?だから私と付き合いましょう!
とはならないですよね? 嫌だしこんな人。
ブライダルの営業も同じだと思っていて、A会場もB会場もC会場もD会場もだめだから、うちの会場でやりましょう!というスタンスが前提になっている接客マニュアルはやはりおかしい。
もちろん、他の会場も検討していて違いに悩んでいるユーザーがいれば、”違い”をきちんと説明してあげることは大切。要はそのスタンスの問題。
お互いの悪口を言い合うために競合見学に割いている時間も、さらにその対策のために割いている時間もお互いに無駄だし、何よりせっかく楽しみに見学に来てくれているお客さんがネガティブな情報ばかりを与えられてしまうというのが一番かわいそう。
いい加減、不毛な会場間競争はやめたらいいのに。
もっとユーザーへどんな提案ができるのか、それを時間として使ってもらいたい。
終わり。
結婚式の価格は直近のほうが安くなる。これはデパ地下の閉店30分前と同じである
結婚式の価格は直近のほうが安くなる。
最近ではかなりメジャーになってきている感はあるが、でもなんで?ということを正確に書いてある記事やサイトを見たことがない。
ということで、直近だと安くなる理由を仕組みから書いてみる。
ブライダルビジネスの販売戦略はこうなっている
結婚式場の経営はまず最初に式場をつくり、それから結婚式の売上で数年かけて先行投資を回収していくモデルになっている。事業上の評価という点では、投資回収率をいかに高く持っていけるか、がとても重要。
例えば、一つの結婚式場を10億円で建てたとして、売上が年間8億円(単価400万円 × 年間200組)、利益率10%で8,000万円/年だとすると、10億円を回収するには約13年(10億円÷0.8億円=12.5年)。圧倒的な伝統がある八芳園や目黒雅叙園といった専門式場、ブランド力がある帝国ホテルや外資系ホテルを除くと、13年前にできた結婚式場です、というのはほぼ差別化要素にはならない。むしろどちらかと言えば古い式場と思われることの方が多い。だから、どの式場も年数を重ねる前に、できるだけ早く回収したいと考える。
回収率を高めるためには初期投資を抑えるか、売上(利益)を大きくするかとなるが、投資についてはその時の景気や他の業界の動向によっても大きく左右されるので、今回は売上に絞って話を進める。
結婚式場の売上は、組数 × 組単価とシンプルなので、1組でも多くのカップルに、少し高い単価で結婚式を挙げてもらうこと、こう考えるのが王道。
ただし、一つの結婚式場で扱うことができる婚礼組数は上限がある。
例えば1つのチャペル、1つのバンケット(披露宴会場のこと)を持つ1日2組の貸切会場だと、年間休日110日 × 2組/日 = 220組、これが上限となる。仮にすごい人気の会場でここで挙げたいと希望する人がもっとたくさんいたとしても、残念ながらこれ以上の数の婚礼は受けることができない。
一方、組単価についてはかなりばらつきがある。
多くの結婚式場の場合、料理のこのフルコースならいくら、このドレスのレンタルならいくら、このアルバムならいくら、という感じでアイテムの定価はすべて決まっている。旅行パッケージのようにいつの時期に旅行に行くかによって定価そのものが変わる、ということはブライダル業界においてはほとんどない。変わるのは「値引き」である。 安く売ろうとする=値引きを増やす、高く売ろうとする=値引きをしない。この値引きをコントロールすることで、組単価の最適化を図っている。
つまり、220組分の施行可能な時間枠という商品を、値引きによってコントロールされた価格で、販売していくことで売上を最大化を目指す、というのがブライダル業界における販売戦略になる。
結婚式を申し込んでから挙式までの期間の分布
まず、下のグラフをご覧いただきたい。
結婚式の何か月前に申し込むカップルがどれくらいいるのかを表したグラフ。平均は約7.7か月前で、それぞれの割合は以下の通り。
結婚式はその日に申し込んで明日行うものではないので、申し込み(いわゆる契約の締結)から披露宴の実施(売上の計上)までの期間はかなり長い。
これを式場運営の立場から見てみると、披露宴当日までの期間が半年を切るとその日を希望する人はだんだん来なくなり、施行枠が空いていると売れ残るリスクが増えていく、ということになる。
直近を希望すると結婚式が安くなる理由
具体的に例を挙げる。
今から半年後の2017年4月は月間の休日数が10日。1日2組の施行が可能だとすると合計で20組。2016年12月時点で予約数が8組だとすると、あと半年の間にあと12組の申込を獲得しなければ、施行枠が売れ残ってしまう。いわば在庫である。実際に式場の支配人や管理職として働いたことのある人ならわかると思うが、この状況はけっこう焦る。しかもあと半年を切っているから、今から翌年春を希望するカップルはほとんど来なくなることも経験上知っている。
そこで、どうするか。
閉店30分前のデパ地下でお惣菜が30%OFFや50%OFFのシールが貼られているのを見たことはないだろうか?売れ残っても廃棄するだけなので安くしてでも売る、基本的な考え方はあれと同じだ。
単価を下げてもいいからとにかく売りたいと考える。結局、この月の施行が8組のままであろうとこれから増えて15組になろうと、会場維持にかかる家賃や光熱費、スタッフの人件費などの固定費は変わらないのだから、単価が安くなろうとも組数を稼いで少しでも売上をあげたほうが経営的には効率的なのである。
極端な話だが、ある程度希望の式場が決まっていて日取りのこだわりもさほどないようなら、3か月前くらいまでギリギリまで粘ってから会場見学に行って申し込むというのが一番安く上げる方法と言える。
この仕組みを効率的に利用する方法
なんで安くなるんだいという仕組みを書いたところで、では実際にどうやったら安くしてもらえるのかを続けていく。結婚式場に見学に行って3か月後が希望なので安くしてください、と伝えてそうしてもらえることも無くはないが、やはり価格のこととなるとスマートなやり取りをした方がいいと思うので、その方法を利用したサービスをいくつか紹介する。
結婚式情報サイトの直前割引を利用する
ウエディングパーク、マイナビウエディングのように初めから直近(直前)で安くなる会場を特集しているサイトや、ハナユメ(旧すぐ婚navi)のように直近でお得になることをコンセプトにしているサイトから式場見学の予約をすると話が通じやすくなる。
プロデュースサービスを利用する
半年以内の空き日程からしか選べないが、その代わりに安くしてくれるサービス。鈴木奈々がCMに出ていることでも有名。
会場公式サイトのプランを見る
だいたいどこの式場の公式サイトにもプランというカテゴリがあり、その中に「●月プラン」や「お急ぎ婚プラン」といった類のプランがある。実際に会場に問い合わせをしてこのプランを適用したいのですが・・・、というと割とスムーズに話が進む。
まとめ
・結婚式は申し込みをするタイミングが直近であるほど安くなる
・理由は施行枠を不良在庫にしたくないから安くしてでも売りたいから
・できるだけお得に挙げたいなら、ギリギリまで粘ってから申し込むといい
・実際に見学に行くときは丸腰よりも特定のサイトなどから予約するとなおよし
終わり。
ブライダルフェアで言われる「今日決めないと損します」は本当か?
ブライダルフェアとは?
一般的な結婚式場を決めるまでの流れは
「今日決めないと損します」はいつ言われるのか?
「今日決めないと損します」となぜ言うのか?
「今日決めないと損します」は本当か?
「今日決めなくても損しない」理由
まとめ
ブログ始めました。
初めまして。
このブログでは、ブライダル業界の話、マーケティングの話をメインに書いていこうと思います。
私はこれまでブライダル業界で企画・マーケティングの仕事をしてきて、ユーザーは一部の情報しか知らずに結婚式場を決めていると感じていました。
ネットや情報誌で調べると情報自体はたくさんあります。でも、結婚式の価格について、式場の選び方についてなど、知って本当に意味のある情報はほとんど世に出ていないのが現状です。
この状況はユーザーにとって本当にいいのだろうか?事業者にとって都合のいい情報だけが世に出回っているのは本当にいいのだろうか?こう思ったことがこのブログを始めたきっかけです。
あんまり文章書くのが得意なわけではないのですが、少しでも読んでくれると嬉しいです。