ブライダル業界「ここだけの話」

結婚式場の元マーケティング責任者が、ブライダル業界の裏側を書いていきます。

ブライダルフェアで言われる「今日決めないと損します」は本当か?

結婚式場の見学といえば、ブライダルフェアが一般的。キラキラしたイメージがありますが実際は逆で、けっこう営業力が強めです。プランナーもプロなので巧み営業トークを仕掛けてきます。今回はその中でよく出てくる魔法フレーズ「今日決めないと損します」について、その裏側を書いてみます。
 
 

ブライダルフェアとは? 

ブライダルフェアとは、結婚を予定しているカップルやその家族を対象としたホテル、結婚式場などで開催されるイベントのこと。
ブライダルフェアでは実際のバンケットを使った会場コーディネートをはじめ、料理・ウエディングケーキ・引出物などのアイテムの展示、結婚式を体験できる模擬挙式や模擬披露宴、ドレス試着会、料理試食会なども行われ、その会場での結婚式を具体的に知り体験することができる。

出典:ブライダルフェア - Wikipedia

  

一般的な結婚式場を決めるまでの流れは

1.ゼクシィ買ってあれこれ見る
2.気に入った会場探す
3.口コミとかブログとかネットでその会場の情報を集める
4.それでもいいなと思った会場の見学予約をする
5.ブライダルフェアに参加する ←これの話
6.申し込む
こんな感じです。
 

「今日決めないと損します」はいつ言われるのか?

この魔法フレーズ、だいたいの場合ブライダルフェアの後半に登場します。
 
アンケート書いて、チャペルや披露宴会場を見学して、試食して、見積りを提示されて、うーん、今日は決められないので無理です・・・。と答えた後、
 
プランナー
「でも、こちらの特典は今日限りの限定ですので、今日決めていただけると大変お得になりますよ。」
 
カップル
「え、そうなんだ・・・、50万円って大きいな・・・、今日だけか・・・、むむむ。」
 
と心が揺れ、結果的に申し込んでしまう、という流れです。
すんなり、ここにします!と言った場合はプランナーが言ってくることはありません。
 
 

「今日決めないと損します」となぜ言うのか?

シンプルに、自分の式場で決めてほしいからですね。当たり前ですが、プランナーも営業ですから。
 
最近のブライダル市場は、
 ・日本の人口:減少
 ・結婚する人:減少
 ・結婚式する人:減少
この三重苦になっていて、そもそも需要(結婚式する人)に対して供給(結婚式場)が多すぎるんですね。だから来てくれたお客さんには確実に申し込んでもらう(狙った獲物は逃さない)マインドが働いていますし、会社からの指示もかなり強くなっています。
  
さらに、プランナー個人の都合で言えば、「申込獲得数(か売上)」が人事評価の対象項目になっていることが多いので、いっぱい契約取っていっぱいボーナスもらおう!というマインドが働いています(ここは会社の経営方針と個人によってもかなり異なる部分ですので、全部が全部そうであるわけではないです)。
 
こんな状況で、どうやったら来てくれた人が一番申し込んでくれやすくなるか、という営業手法が洗練されていった結果、「お金で釣る(金銭的な不安を煽る)」この方法が一番安定して効く、となりこの方法が主流になっているんですね。
 
いわゆる「即決特典」と呼ばれるものです。
 

「今日決めないと損します」は本当か?

さて、このフレーズ、本当に損するのでしょうか?
 
損すると思わせるためのシナリオは、出された見積りの中に、当日だけ使える特典なる割引がついていて
・お客様のためだけの特別な特典です!
・何とか上司に頼み込んでつけてもらってきました!
・でも、今日この場でお申し込みいただかないとこの割引は適用できないんです。。
と、ふたりのために恩着せがましく話してきます。
 
 
先に結論からお伝えすると、
 
【損しません】
 
これ、完全に営業トークなんですね。
会社によってはトークスクリプトを作ってマニュアル化しているところもあります。
 
今日使える割引が1週間後、1か月後にまた使えなくなることはほぼありません。
(同じ日取りを希望する場合ですが)
 
でも、そう言われても不安ですよね。
ここで決めないと50万円も高くなってしまうなんて…
50万円あればハネムーンも行けるし、引っ越しの頭金にもできるし。。。
 
なので、損しない理由を説明します。
 
 

「今日決めなくても損しない」理由

 
結婚式の価格は申込日~挙式日までの期間が短ければ短いほうが安くなるからです。
 
例えば、2017年12月7日での結婚式を申し込んだお客さんが3組いたとします。
 Aさん:2016年12月7日申込=1年後
 Bさん:2017年6月7日申込=半年後
 Cさん:2017年9月7日申込=3か月後
この3組が同じ内容の結婚式をする場合、価格は
 
Aさん>Bさん>Cさん
 
間違いなくこうなります。
 
もっと正確に書くと、それぞれ申し込んだときにつけてもらえる特典(割引)が
 
Cさん(100万引き引き)>Bさん(60万円引き)>Aさん(20万円引き)
 
こうなるので、Aさんが一番高く、Cさんが一番安くなります。
ちなみに、できあがる結婚式はすべて同じ内容です。
 
つまり、できるだけ直近で申し込みをした方が値引きが増えるので安くなるんですね。
 
さて、本題です。
Bさんの事例のように、見学に行ったときに半年後の日取りを希望し、出された見積りが、
 定価:300万円
 特典:-60万円
 合計:240万円
だったとして、
 
プランナー
「この特典は本日のみ有効なので、今日決めていただかない場合は無効になります、おふたりの今後の生活のためにもぜひお申し込みを」
 
Bさん
「いやいや、何をおっしゃる。今日は決められないので帰りますよ(初めに言ったやないか)」
 
という一連のやりとりを残して帰ったとします。
 
そして、3か月後に
 
Bさん 「いろいろ検討したのですが、やはり同じ日でお願いしたく、申し込みたいのですが・・・」
 
と言うとどうなるでしょうか?
 
× プランナー
「特典は使えないので、定価300万円になります」
○ プランナー
「そうですか、わかりました。お申し込みありがとうございます。特別に前回と同じ金額で受けさせていただきます」
 
となるでしょうね。だって欲しいから、申込。
3か月後なのにまだ予約で埋まってない状態とか責任者も 上層部から怒られますからね。
 
のどから手が出るほど欲しい直近成約希望顧客に対してわざわざ高い見積り出して帰してしまうほど強気な会場は今の日本にはほぼありません。
 
だから、
・この特典は今日しか使えません
・今日決めないと損します
・当日ご成約特典
この類の話はほぼ全部営業トークだと思ってもらって大丈夫です。
 
 

まとめ

プランナーに「今日決めめないと損ですよ」と言われたら、「へぇ~、そうなんですね」と言って流しておきましょう。
 
大丈夫、使えますから、特典。むしろ安くなる可能性すらありますから。
※人気会場で日取りが予約で埋まってしまう場合は本当に残念ですね、となりますのでご注意を。
※あと、もらった見積りは取っておきましょう。
 
そもそも、こんな営業トークをしてくる式場は、とにかく一組でも多く成約を取りたい⇒売上が減っていて焦っている⇒人気のない式場、です。
 
本当に人気のあるしっかりした会場は、きちんと説明してくれます。